悪評系2大文献まとめ

「悪評系2大文献」に対する意見と感想は当記事でひとまず締めとし、次記事からは「宮沢賢治と高瀬露さんに関する様々な話」への意見と感想を述べていきます。

当記事では「両文献の良い点と問題点」「文献の内容以外に気になったこと」を記していきたいと思います。

森・儀府両文献の良い点と問題点

個人的に感じる両文献の「良い点・問題点」を以下に挙げます。直木賞受賞経験者(森荘已池)・芥川賞候補経験者(儀府成一)に対し大変失礼なことは承知の上で率直に述べさせて頂きました。

森文献
良い点:「自分の目に映った光景・自分の心で感じたこと」だけを書いている
問題点:記憶違いや思い込みをしたままと思われる記載がある、誤読を招く記載がある、所々虚偽も見られる
儀府文献
良い点:登場人物の心情が深く書き込まれていて読み応えがある
問題点:他人の作った文章を流用・自分の想像をさも事実であるかのように装飾している、所々設定の甘さが見られる

両文献とも露さん(内村康江)に関する話は「完全なフィクション」としてなら多少俗な部分は気になるものの面白く読める内容と感じます。その点は「さすが作家だな」と思います。

森文献は露さんに関する話以外に対しては「賢治への敬愛が感じられる温かみのある文章」という印象を抱いています。

森荘已池の儀府文献に対する心情が気になる

コンピューターゲームに関心のない方には分かりにくい話題を挙げてしまいますが何卒ご容赦ください。

2024年1月19日に「パルワールド」というゲームが発売されましたが、このゲームに登場するモンスターが「ポケットモンスター」に登場するキャラクターに類似しているとして結構な騒動になったのです。

「パルワールド」にもポケモンにも関心がない私はこの騒動に対して高みの見物を決め込んでいましたが、「既存のキャラクターに類似している」という点からふとこんな疑問が頭に浮かんでしまいました。

tsumekusa
tsumekusa

森荘已池は、自分の書いた文章を流用し派手な装飾まで施した儀府成一に対してどう思っていたんだろう?

他の悪評系文献は一連の「露さんの愚行」を語る際「賢治と露さんの行動」のみを述べ、併せて「森荘已池(あるいは高橋慶吾・関徳弥)がそのように語っている」等の記述をしています。

しかし儀府文献は森の記した内容を自分が見聞きしたことのように記し、その上に勝手に想像した賢治や露さん(内村康江)の心情を装飾しているのです。

儀府の著書宮沢賢治 ●その愛と性が出版された1972(昭和47)年の時点で森はご存命であり、この本を目にすることもあったと思われます。

「森が儀府の著書に対して言及した」「森と儀府の間で確執が生まれた」などという話は見つかりませんでしたが、自分の文章が流用され装飾まで施されたことに対し思うところはあったのではないでしょうか。

儀府文献はエンタメ、それ以前に…

以前の記事「「悪評系2大文献」のもうひとり・儀府誠一」で記したことと被りますが当記事の締めとして改めて記したいと思います。

上田哲さんは「「宮澤賢治伝」の再検証(二)ー<悪女>にされた高瀬露ー」で儀府の著書を挙げた際に、

このような本が研究書とよばれまかり通り研究文献目録に登載されている。日本の文学研究のレベルの低さが悲しくなった。

上田哲「「宮澤賢治伝」の再検証(二)—<悪女>にされた高瀬露—」1996(平成8)年

と強い調子で述べています。

儀府文献は研究書ではなくエンターテインメントと呼ぶべきでしょうが、エンタメでも「他人の文章を流用し装飾を施す」行いは良しとはされません。

現代に存在するもので儀府文献に似ているのは「5ちゃんねるの書き込みを写しただけのまとめサイト・他人が作った資料やWikipediaをほぼそのままボイスロイドに読み上げさせただけの解説動画」といったところでしょうか。

どちらも大元の目的は読者・チャンネル登録者集めと広告収入(承認欲求の充足と小遣い稼ぎ)なのですが…さすがに儀府文献はこの点はあまり関係ないと思いたいですね。

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