「キーワード」を比較してみる

手持ちの資料から、高瀬露さんの周囲の人々の証言は出揃いました。それらを更にまとめて、キーワードとして書き出してみます。

●地味で控えめ
●優しい
●世話好きでよく気がつく
●人ざわりが良く物腰が丁寧
●他人の悪口や批判を言わない
●人と意見が違っても逆らわない
●仕事や信仰に対する姿勢は真面目で熱心
●自分を律するのに厳しい
●不正やいい加減が嫌い
●男女交際に対する倫理観は保守的
知りたい人
知りたい人

そうだ、これまでの「通説」で描かれている「露さん像」も書き出してみてよ。両方を比較してみたり一致しているところを見つけてみたいんだ。

同じく手持ちの資料から「通説で描かれている露さん像」をまとめて書き出してみます。

●明るく率直
●世話好きでしっかりしている
●思い込みが激しい
●押しつけがましい
●教員という仕事がありながら日に2度も3度も賢治の元を訪れる
●自己中心的で、遠回しの拒絶を汲み取らない
●思いを叶えるためには信仰を曲げる姿勢も見せる
●思いが叶わなければ賢治を中傷し始める
知りたい人
知りたい人

…こうして見てみると、一致しているのは
世話好きでしっかりしている(よく気がつく)
という点だけだね。あとは本当に真逆といえるほど違う点ばかり。

両者の相違点を比較してみましょう。

相違点1
●明るく率直
●地味で控えめ・人と意見が違っても逆らわない

相違点2
●思い込みが激しい・押しつけがましい
●人ざわりが良く物腰が丁寧・人と意見が違っても逆らわない・自分を律するのに厳しい

相違点3
●教員という仕事がありながら日に2度も3度も賢治の元を訪れる
●仕事や信仰に対する姿勢は真面目で熱心・自分を律するのに厳しい・不正やいい加減が嫌い・男女交際に対する倫理観は保守的

相違点4
●自己中心的で、遠回しの拒絶を汲み取らない
●人と意見が違っても逆らわない・自分を律するのに厳しい

相違点5
●思いを叶えるためには信仰を曲げる姿勢も見せる
●仕事や信仰に対する姿勢は真面目で熱心・自分を律するのに厳しい・不正やいい加減が嫌い

相違点6
●思いが叶わなければ賢治を中傷し始める
●他人の悪口や批判を言わない・人と意見が違っても逆らわない・自分を律するのに厳しい

流布されている姿をまとめると「押しつけがましく厚かましい、いい加減な人物」、実際の姿をまとめると「優しく真面目で控えめで、相手を立てる人物」となります。

改めて見ると「別人かな?」と言いたくなるくらいの違いだらけですね。

知りたい人
知りたい人

…本当にそう思うんだけど、ひとつ気になることが出てきた。
これまで挙げてきた「露さんの実際の姿」は結婚後のものばかりなんだよね。
だから「優しく真面目で控えめで、相手を立てる人物」と周りの人々から言われるようになったのは「年齢と経験を重ねた結果によるもの」で、賢治のもとに通っていた頃、つまり若い頃は「押しつけがましく厚かましい、いい加減な人物」な面もあったんじゃないか…と突っ込まれる可能性があるんだよ。

確かに「年齢を重ねて/色んな経験をして性格が丸くなった」なんてこともありますが「それでも元々の性質は変わらず残っている」という場合がほとんどではないでしょうか。

知りたい人
知りたい人

ま、まあ…偏見になるけど、特に「思い込みが激しい・押しつけがましい」性格は年を取ると共に強くなる傾向がある感じだよね。

先にも述べたように流布されてきた姿と実際の姿はほぼ正反対と言えるほどの違いです。よほど大きな病気・怪我をしたとか強い精神的ショックを受けたということでもなければ、人間ここまで性格は大きく変わらないと思います。

知りたい人
知りたい人

それに、あそこまで「押しつけがましく厚かましい、いい加減な人物」が長い間教員を続けられたり、上流階級の家にお嫁入りできたり、周囲の人々や教え子たちやその父兄に長い間慕われるとも思えないものね。

なお、当ブログで「悪評系」と分類している「露さんの悪評を流布している人々」のうち、「実際に露さんに会ったことがある」と語っている(真偽は別として)のは3人だけなのです。

知りたい人
知りたい人

さ、3人だけ? しかも真偽は別として、って…。
じゃあ、数々の賢治研究本が流布する「高瀬露」像はその点を頭に入れた上で見なくちゃいけないね。

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